電力の需給 2012 6 17

書名 Newton ニュートン 2012 1

 少し古くなりますが、
科学雑誌「ニュートン」の1月号を取り上げます。
 基本的に、電力の需給は、ぴったりと合わせる必要があります。
一日の中で、電力の需要は、刻々と変化しますが、
電力の需要が増えたら、電力の供給を増やし、
電力の需要が減ったら、電力の供給を減らす必要があります。
 なぜ、そんなに手間がかかることをするのか。
それは、「ニュートン」から引用しましょう。
 電力が余ると、交流の周波数が狂ってしまうからです。
電力が余った状態では、そのおおもとである発電機の回転数を
上昇させようとする作用が働き、
結果的として周波数が上がってしまうのです。
逆に電力不足となると、周波数は、下がります。
(周波数は、関東では50ヘルツ、関西では60ヘルツです)
 周波数が本来の値から、ずれると、
周波数に基づいて決まるモーターの回転数が変動して、
工場での工業製品の製造に影響が出る場合があると言います。
 その許容範囲は、0.2から0.3ヘルツ程度までとされています。
また、周波数のずれが数%に達すると、
発電機が故障する可能性が出てくると言います。
 このため電力の需要と供給は、
ほぼ、ひったりと一致していなければならないのです。
 電力会社では、周波数の変化を見て、
需要の変化を推測し、それに合わせて発電量を調整することで、
この問題をクリアしています。
(以上、引用)
 基本的に、原子力発電では、出力を調整しにくいので、
原子力発電で一定量の発電を続け、
電力の需要の変化に対しては、火力発電で調整するのです。
火力発電ならば、上手に出力を増やしたり減らしたりできるのです。
 このようにして、電力会社は、日夜、
「高品質な電力」を供給することに苦労をしているのです。
日本の高度な工業力は、このような「高品質な電力」を必要としています。

蓄電技術 2012 1 8
 日本人は、我慢強いから、
昨年の夏に続いて、この冬も節電で(2012年1月8日当時)、
がんばっていると思います。
 しかし、冬に寒さを我慢すると、
インフルエンザの可能性が高くなります。
 このような問題があるのは、
福島原子力発電所の事故もありますが、
電力を貯めておくことができないからです。
 作り置きできれば何とかなりますが、
電力というものは、原則として、貯めておくことができません。
 しかし、可能性として、蓄電する方法があります。
以前、このサイトの書評で紹介した、
斉藤勝裕氏のレアメタル関係の本を思い出しました。
 それは、超伝導を使って、蓄電するという方法です。
超伝導状態になれば、電気抵抗がゼロですから、
いったん大電流を流すと、永久に電流は流れ続けます。
 そこで、発電された電力を電力貯蔵装置に貯蔵しておくという方法です。
超伝導コイルは、電気抵抗なしに大電流を流すことができますので、
さしあたって使い道のない電力をコイルに流しておき、
必要になったら、そこから戻して使うという方法です。
このような方法ならば、電力を「貯金」したことになります。
 ただし、書くのは簡単ですが、
実際には、超伝導特有の問題があります。
 これは、斉藤氏の著作にありますが、
超伝導の臨界温度は、絶対温度で数K、摂氏でマイナス260度です。
 もちろん、最近は、液体窒素の温度(77K、マイナス196度)で、
超伝導状態になるものが開発されています。
 実験レベルでは、160Kでも超伝導状態になるものがあります。
いずれにせよ、極低温が必要になることは間違いありません。
 次の問題点として、
77Kや160Kの「高温超電導体」と呼ばれるものの多くは、
何種類かの金属酸化物や他の元素を混ぜて焼結したものですから、
針金のようにしたり、ましてやコイルのようにすることはできません。
これが、高温超電導体の実用化を妨げているのです。
 現在、実用化されているのは、斉藤氏の著作では、
ニオブとチタンの合金です。
 しかし、この合金は、もろいので、コイルにすることはできません。
そこで、この合金を銅のパイプに詰め、
銅パイプとともに延伸して針金にすることで実用化されています。
(斉藤勝裕 「レアメタルのふしぎ」  ソフトバンク クリエイティブ)
 超伝導については、難関が二つありますが、
「必要は発明の母」(Necessity is the mother of invention.)です。














































































































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